
「これから格闘技を始めてみたい!」と思っても、具体的にどの競技を始めれば良いのか迷ってしまうもの。
格闘技と一口にいっても種類はたくさんあり、それぞれでルールや特徴も異なります。
長く続けていくためには競技の種類や特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
今回は格闘技を始めたい人向けに、主な競技の種類や選ぶ際のポイントについて解説します。
格闘技は大きく3つのカテゴリに分けられる
たくさんある格闘技はそのスタイルによって主に、立ち技系格闘技と組み技系格闘技、そして総合格闘技の3つに分けられます。
まずはカテゴリごとの特徴を見ていきましょう。
立ち技系格闘技
まずは立ち技系格闘技です。
立った状態で対戦相手と向き合い、パンチやキックなどの打撃をくり出して相手を攻撃します。
打撃によってどの程度ダメージを与えたかが重要ではなく、打撃を与えた箇所やどのように倒れたか、優勢かどうかなどによってポイントが加算されていくのが特徴です。
また基本的にどちらか一方が倒れてしまった場合、試合は中断されます。
立ち技系格闘技で有名なのがK-1。名前ぐらいは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
K-1とは立ち技系格闘技のイベント名であり、団体名でもあります。
空手やキックボクシング、カンフー、拳法などの頭文字、さらに競技の中におけるナンバーワンを意味するKINGの頭文字から名称が付けられました。
以前はヘビー級や無差別級などで人気を博していましたが、最近は体重別に細かく階級が設定され、特に軽量級の選手が数多く活躍しています。
組み技系格闘技
組み技系格闘技は立ち技系格闘技のように、パンチやキックなどの打撃は禁止されています。
対戦相手と組み合って投げたり抑えたり、寝技や締め技、関節技などで降参させたりするのが特徴です。
投げ技でどのように倒れたか、締め技や関節技がどのように決まったか、また優勢かどうかによってポイントが加算されていきます。
総合格闘技
最後のカテゴリが総合格闘技です。
実戦系と呼ばれることもあり、上記で紹介した立ち技系と組み技系における攻撃が認められています。
ただし目突きや噛みつき、後頭部といった急所への攻撃は禁止です。
KO(ノックアウト)やTKO(テクニカルノックアウト)、関節技や締め技によるタップなどで勝敗を競います。
多くの技をフル活用した実戦性を求めるのであれば、総合格闘技の選択が筆頭候補となるでしょう。
代表的な立ち技系格闘技の種類
続いては立ち技系格闘技の主な種類を見ていきましょう。
ボクシング
ボクシングの起源には諸説あるものの、紀元前に行われた古代ギリシャのオリンピックですでに採用されていたといわれています。
両手にグローブを装着して、パンチのみで相手と戦う格闘技です。攻撃できるのはベルトから上の部分だけです。
1ラウンドはアマチュアボクシングで2分、プロボクシングで3分。複数ラウンドを戦い、倒された場合はレフェリーのカウントが始まります。
10カウント以内に立ち上がらなければ負けです。
キックボクシング・ ムエタイ
2つ目はキックボクシング・ムエタイです。
キックボクシングの発祥は日本。タイを発祥とするムエタイを打倒するために作られました。
どちらも基本的なルールは同じです。
パンチの他にヒジ打ちやキック、ヒザ蹴りなどによる攻撃、相手の足への攻撃もできます。
KOやTKO、判定によって勝敗が決まります。
テコンドー
テコンドーの発祥は韓国です。韓国国内では国技としても知られています。
手技と足技を駆使して対戦相手と戦い、特に足技は美しさと破壊力を兼ね備えていることから、「足のボクシング」といわれるほどです。
手技は2,000、足技は1,200にもおよびます。
KOだけでなく、相手に攻撃を当てて得られるポイント総数によっても勝敗が決まるのが特徴です。
カンフー
最後は中国武術の別名でもあるカンフーです。
カンフーの発祥は中国。カンフーをあつかった中国映画もたくさんあるため、見たことがある人もいるのではないでしょうか。
本来カンフーとは武術名ではなく、時間や労力を積み重ねることを指す言葉です。
カンフーと一口にいっても細かい種類はさまざま。例えば少林拳では突きや蹴りの他、刀や槍などの武器も使用します。
代表的な組み技系格闘技の種類
寝技や締め技などをくり広げる組み技系格闘技の主な種類は、次の4つです。
レスリング
1つ目はレスリングです。
発祥はヨーロッパ。古代ギリシャにおけるオリンピック競技にされており、世界最古の競技ともいわれています。
投げ技や組み技、タックルなどを使って対戦相手をマットの上に倒し、両肩がマットの上に1秒以上付けると勝ちです。
オリンピックではフリースタイルとグレコローマンスタイルの2種類があり、フリースタイルは全身を使える反面、グレコローマンスタイルでは上半身しか使えません。
ブラジリアン柔術
世界で一番強い柔術と名高いのがブラジリアン柔術です。
発祥はブラジル。日本の柔道をさらに護身用として発展・誕生しました。
かつてノールールの格闘技大会において、グレイシー一族がブラジリアン柔術を用いて圧倒的な強さで優勝したことで知られています。
柔道との大きな違いは、寝技に入っても試合が続行されること。また一度投げられただけでも勝敗は決まりません。
締め技や関節技で相手が降参したり、試合終了時のポイント数で勝敗が決まったりします。
相撲
3つ目は相撲です。
発祥は日本で、国技としても有名ですね。
ルールは簡単。土俵の上で相手と組合、足以外の箇所が地面に付いたり、土俵の外に押し出されたりしたら負けです。
組み技の中でも投げ技のみが許されていること、そして階級が分かれていないことから体が大きければ大きいほど有利とされています。
合気道
合気道も日本が発祥の組み技系格闘技です。
相手の体重や重心などを活用して、自然の動きの中で相手を倒すことを目的としています。
相手との強弱を付けることを目的としていないことから、他の競技のように試合が行われません。
練習をする際は練習相手とどのような技を出すのかについて、事前に同意を取っておくことが求められます。
代表的な総合格闘技の種類
最後のカテゴリが総合格闘技です。
全部で4つ見ていきましょう。
少林寺拳法
少林寺拳法は日本の香川県が発祥です。少林拳と名前が似ていることから中国発祥と思われがちですが、違います。
主な特徴は剛法と呼ばれる突きや蹴り、そして柔法と呼ばれる投げ技やつかみ技、関節技の2つ法があること。
剛法は空手、柔法は合気道のようなイメージです。
競技となると演舞が中心となることから、所属する道場によっては対戦といった実戦ができないこともあるでしょう。
突きは真っすぐにのみ、蹴りは防具が付いた箇所にだけできます。
日本拳法
2つ目は日本拳法です。
発祥は名称のとおり日本。昭和7年誕生と歴史が古く、日本初の総合格闘技とされています。
打撃や寝技をフル活用するものの、手にはグローブを装着しているため相手をつかむことはできません。
相手の面や胴に有効打を入れたり、関節技で降参させたりすると一本となります。
全三本勝負が行われ、二本先取した方が勝ちです。
ヨーロピアン柔術
ヨーロピアン柔術は日本の柔道や伝統空手をベースとして、ヨーロッパで生まれた格闘技です。
ブラジリアン柔術では認められていない投げ技や関節技、締め技が可能となります。
直接打撃は禁止ですが、寸止めの打撃は可能です。
締め技や関節技で相手を降参させるほか、寸止めの打撃が有効と認められても一本となります。
太極拳
最後は太極拳です。
日本では健康法としてのイメージがありますが、元々は中国を発祥とする戦闘術となっています。
主に相手との至近距離における投げ技や関節技を特徴としている反面、他の格闘技にも多い突きや蹴りには対応が難しいのが実際です。
格闘技を選ぶときの4つのポイント
上記で解説したように、格闘技といってもさまざまな種類があります。
それぞれが持つ特徴は大きく異なることから、これから格闘技を始める場合は自分にピッタリ合った競技を選ぶことが大切です。
最後に格闘技を選ぶときのポイントを、全部で4つ紹介します。
①実戦性
まずは実戦性です。
例えば護身用に格闘技を習いたい場合などでは、実戦でも活用できるような競技を選ぶと良いでしょう。
先に紹介した競技の中ではキックボクシング・ムエタイやテコンドー、レスリング、ブラジリアン柔術、そして総合格闘技全般などがピッタリです。
②練習内容
2つ目は練習内容です。
例えばノールールを掲げているような格闘技の場合、スパーリングや対人練習などをあまり行わないようなところもあります。
競技に対して求めるものを確認した上で、練習内容の特徴などから競技を選ぶ方法もあるでしょう。
もし気に入った競技が見つかってもスパーリングや対人練習が怖い場合、無理にしなくても構いません。
③ダイエット効果
ダイエット効果を目的として、格闘技を始めようと思っている人もいることでしょう。
種目によって鍛えられる部分が異なるため、主にどのシェイプアップしたい箇所に応じて競技を選ぶのもおすすめです。
ダイエットやシェイプアップを目的とした女性にとって、特に人気の高い競技がキックボクシング・ムエタイです。
二の腕や腹筋、腰回りなどを引き締められる他、全身運動によってカロリーも大きく消費できます。
また重量制限が厳しい種目を選べば、必然的に体重コントロールが求められるようになるでしょう.。
④ジムの通いやすさ
最後はジムの通いやすさです。
満足いく結果を出すためには、ジムに通ってトレーニングを継続させることが必須。もしジムが自宅から遠く離れていると、おっくうになって次第に通わなくなってしまうかもしれません。
自宅や職場から通いやすい場所にあるかどうかも、競技選びにおけるポイントにおくと良いでしょう。
まとめ
格闘技はそれぞれが持つ特徴から大きく、立ち技系格闘技と組み技系格闘技、総合格闘技の3カテゴリに分けられます。
習得できる技や鍛えられる身体の部位、ルール、試合があるかどうかなどは競技によって大きく異なるため、始める前にしっかり確認しておくと良いでしょう。
今回紹介した格闘技情報や選ぶときのポイントも参考にして、自分にピッタリ合った競技を見つけてください。