
B-STYLE GYM 会長 鈴木義行
ボクシングジムと言えば、プロを目指す人が所属する組織をイメージする人もいるかもしれませんが、実際はフォットネス目的での利用者も多くいます。仕事帰りに気軽に立ち寄る人や、小中学生など子供の習い事として通わせている親御さんも多いです。
今回は、プロボクサーを引退して自分のボクシングジムを立ち上げた鈴木義行さんにお話を伺いました。ジムを立ち上げるまでの経緯やB-STYLE GYMの魅力・特徴、今後などについて紹介していきます。
人生一度きりだからこそ挑戦し続けてきた
ーボクシングを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
子供の頃からスポーツが好きで、ボクシングはテレビとかでよく観ていました。
小学生からずっと続けていたのは野球で、将来的にはプロになりたいなぁと思っていたんです。でも、中学生くらいからケガに悩まされて、高校生になると腰とか肩のケガで辞めてしまいました。不完全燃焼で終わってしまって、ずっとモヤモヤしていました。
腰や肩が心配だったんですけれど、人生一回しかないので、昔から興味のあったボクシングをとりあえず本気でやってみようと決めました。
遅いとは思いましたが、26歳でプロテストに挑戦して一発で合格したんです。
それから、せっかくだから試合もしてみようと思いました。なかなか勝てない試合も多くて辞めようかとも思ったんですけれど、なんとか意地でA級ライセンスまで取ることができました。
ー選手時代のエピソードについて教えてください
今になって考えると、後のチャンピオンクラスとばかり試合していましたね。
ボクシングは37歳までが定年なのですが、ギリギリまで試合をしたいと考えていました。そして、37歳になる3週間前に試合を組んだのです。弱い相手と試合してもつまらないので、どうせならランキングに入っている強い選手と試合をしてタイトルマッチまでつなげたいと思っていました。
結局、最後の試合は負けてしまったんですけど、挑戦したことや沢山の人たちに応援していただいたことにすごく感謝しています。何もやらずに後悔するより、やって後悔する事が良い。自分の人生として最高の経験になりました。
ージム開設のきっかけ
ある時期に周りで不幸が続いて、「人生なにがあるかわからないな」と思うようになったんですよ。ジムを始めたのは、この思いが強くなったのがきっかけです。
それと、現役時代から車の整備の仕事もやっていました。だけどこの仕事、正直あんまり好きじゃなかったんです(笑)。
「人生一回だし、せっかくだからボクシングのジムをやってみるか」というのもきっかけです。
ありがたいことに今は会員様も増えて、コロナ禍でも忙しくさせてもらっています。今4年目ですけど、やってよかったなと思いますね。
B-STYLE GYMではダイエット目的の女性も歓迎
ーB-STYLE GYMはフィットネスに特化したジムなのでしょうか?
特化しているというより、基本はボクシングなんです。
トレーニング用の器具も一通りそろっていますし、フォットネスできる環境ではあります。でも、基本的にはボクシングをやったあとに、元気があればトレーニングもするといったイメージです。
それと、手首とか指を痛めちゃったりして「ボクシングできません」という人に向けて、フィットネス要素を取り入れているといったイメージですね。
実際、みんなボクシング目的で来てるから、女性でもボクシングしかしない方も多いんです。だから別に、フィットネス環境はなくても良かったかなと思うくらいで(笑)。
もちろん、トレーニングしたい人には筋トレメニューを提供したり、トレーニング方法を教えたりもしていますよ。
ー女性の会員様もスパーリングはするのですか?
やるんです(笑)。うちは女性にもスパーリングを勧めています。もちろん強制ではなくて、やりたい人にやってもらう形です。
女性やまだ実力に自信のない方には、攻撃練習とストレス発散にパンチを打つだけのところから始めて、5割くらいで行うマスボクシング(ライトスパーリング)という形などから少しずつ行っています。
最初はスパーリングをやるような方でなくても、試しにやってもらうと好きになってもらえることが多いです。
ダイエット効果もあって、スパーリングしてる方の中には18㎏くらい痩せた方もいらっしゃいます。腰のあたりをひねる要素が大きいので、体重は減らなくてもウエストが5㎝くらい締まった方もいらっしゃいました。
ボクシングって腕だけ、上半身しか使わないイメージかもしれませんが、実際は下半身も大切なんです。縄跳びみたいに常に動いてるので、足の筋肉もかなり使います。
みんなで仲良くボクシングを楽しめる「B-STYLE GYM」
ーこれまでの印象的なエピソードを教えてください
元々ボクシングが好きな会員様がいらっしゃったのですが、うちに通ってさらにのめり込んでいったんです。熱心に続けたこともあって、体重が84㎏から53㎏まで落ちました。
B-STYLE GYMは好きなタイミングで来てもらえるジムなので、その方は仕事がない日は2回も練習に来て頑張っていましたね。
何よりその方がボクシングの効果を示してくれたのは、他に特別なトレーニングをやってなかったことなんです。食事制限をすることもなく、シンプルにボクシングを続けた結果ダイエットにつながりました。
ーB-STYLE GYMで大切にしていることについてを教えてください
いろんな方が来てくれるんですけど、うちでは雰囲気作りを大切にしています。会員様でも挨拶や礼儀・マナーをしっかりやってもらいます。小学生の親御さんには「ボクシングできないのは怒りません、挨拶できないのは怒ります」って伝えてあります。
人として当たり前のことをやってもらうってことですね。挨拶やマナーができてないと、雰囲気が悪くなっちゃいますしね。
おかげさまで、うちのジムには理解のある会員様が多くて、みんな仲良くやってます。今はできないですけど、親睦会とかやってたときには5人に1人くらいの割合で参加してもらってました。
ー指導者として大切にしていることは何でしょうか?
まず楽しんでもらうことが一番大事です。さっきも言ったように、挨拶とかマナーはしっかり守ってもらうことも大切にしてます。
それと、ボクシングそのものを好きになってもらって、本気で取り組んでもらいたいなと思います。
うちのジムはプロに加盟してないのでプロ選手を目指せないんですけど、小学生でも本格的にやりたいと思ってくれる子が出てきてくれればいいですね。実際、すごく上達してきてる子がいるんですよ。プロに加盟してるジムへ紹介したこともあります。
ー最後にジム経営を続けていく上での目標はありますか?
重複しちゃうかもしれないですけど、みんなでボクシングを楽しめるジムを続けていきたいです。「仕事で嫌なことがあったらB-STYLE GYMへ行こう」みたいに思える雰囲気作りをしていきます。
あとは、B-STYLE GYMもプロジムとして加盟したいという想いがあります。小学生の子がうちのジムで上手くなって、他のジムでプロになると悲しいじゃないですか(笑)。
ただ、リアルな話をしちゃうと、ジムとしてプロに加盟するためにお金がかかるんです。金額は大きいですけど、だからこそプロジムが乱立せずに、ちゃんとしたジムが多いんですよね。費用面がネックですけど、将来的にはプロ加盟を目指したいですね。
プロまではいかなくても、実際に試合へ出られる人も増やしたいと考えてます。スパーリング大会というのがあって、いくつかのジムで一緒にスパーリングするんです。プロではないですが、試合形式でボクシングが楽しめるので、勝たせてあげたいなぁと思います。
よりボクシングを深く知ってもらえる人を増やしたい、増えてくれたらいいですね。